第2章 I am happy
第1ボタンと、ジャケットを結ぶピンク色の糸は、やけに目立った。
ーーーいや、普通に見れば、ボタンの裏などめだつはずもないのだが、着ている爆豪からすれば、
そこだけ色を持ったかのように浮き出て見えた。
その度に頭をちらつく女の照れた微笑みに、舌打ちをする。
なんなんだ、ったく
雄英に入ってまだ3日だがろくなことがない。
オメガの上に無個性で完全に見下していたデクに、突如現れた個性。
半分野郎のチート級の強さ。
「くっそ…んとに」
らしくねぇ。
オレは本来こんなんじゃねぇのに
俺は選ばれしアルファだ…
いつだって1番だった、
俺にできねぇことなんかなくて
俺に抜かせねぇ奴もいなくて
俺の前を行くやつなんて…今までいなかった。
入試も、体力テストも1位だった…のに……
爆豪の突如として目の前に現れた、推薦入学者2人…。轟焦凍と八百万百。
その2人が、爆豪のプライドを削り取っていく…。
それに加えて、あの女だ
どんクセェくせに、俺の周りをうろちょろうろちょろしやがって
鬱陶しいはずなのに
コケたり、押し潰されそうになってんの見ると助けたくなる…
こんな感情はいらねぇ
この場所で、1番になるまで
俺に、強くなる以外の感情なんていらねぇんだ。