第13章 I am a egg
その日、1年校舎はヒーロー科を不在にして朝を迎えた。
【行ってくる】
そう返ってきていた返信と
【すごく緊張するけど…頑張ってくるね!】
という返信。
2つに既読をつけて、既読のまま返事の来ない1通にもう一度目を通し、くるみはスマホを収めた。
「ヒーロー科、今日から職業訓練だってよー」
「いーよなー、街中で個性ぶっ放してみてぇー」
ため息まじりに交わされる言葉に我関せず、そんな彼女の肩を叩く少女が1人。
「寂しいんじゃない?」
『ん?』
「ほら、ヒーロー科、今日から1週間いないじゃん」
『あー…うん、寂しいけど、LINEあるし』
「たしかに!」
エミリは、くるみの机に手を置いてケラケラ笑う。
『いいよね、職業訓練
ヒーロー科ならなぁー爆豪くんと同じ事務所に行けたかもなのに…』
「どこ行ってるの?」
『ベストジーニスト事務所…』
「うわ!ベスト4の!」
『うん…』
足をぶらぶらさせながら、両膝をついて頬を支える姿は間違いなく不貞腐れている。
そんな表情も、人形のように整った外見のギャップゆえに男子生徒の視線を集めた。