第3章 Sweet Darlin’=Little Honey
今、僕の膝の上には………
ジョンが居る。
僕の膝の上に上半身を預けて微睡んでいるジョンの背中を、僕はずっと撫で続けていた。
キースさんの家に招待されて図々しく上がり込んだものの……落ち着かな過ぎるよッ!
大体、キースさんと部屋の中で2人っきりなんていう状況が初めてなんだし。
そんな抑えきれない動揺を誤魔化すみたいに、僕は今居るリビングをグルリと見廻した。
広くて清潔で、家具も一つ一つが洗練されてて……
僕が座ってるこの大きくて柔らかいソファーも、きっと高価なんだろうなァ。
あ……KOH(キングオブヒーロー)のトロフィーも、あんなに沢山……。
………キースさんはヒーローと言いながら所詮は見切れ職人の僕なんかとは全然違うんだ。
分かってたつもりだけど、こうしてダイレクトに見せ付けられちゃうとやっぱり……
僕がキースさんに気付かれないようにコッソリ息を吐くと、膝の上のジョンが「クゥ…」と小さく鼻を鳴らして、まるで僕を心配するみたいに見上げてきた。
「イワンくん!」
「ハッ……ハイィッ!」
突然キースさんに呼ばれて、声が裏返ってしまう僕。
あああ……ホントに自分が情けない。
「いや、今夜はイワンと呼ばせてもらうよ。
だって私とキミは恋人同士なのだから!」
「………ハイ。」
隣に座っているキースさんが、ジリッと少しだけ僕との距離を詰める。