第21章 背徳のシナリオ ~後編~
「僕……ベッドルームで待ってます。
だからさん自身で選んで下さい。
さんが来なくても……僕、大丈夫です。
子供の頃からずっと1人だから……
淋しいのは慣れてます。
でも……さん……
お願い………」
そして僕はスクッと立ち上がり、さんに背を向けてベッドルームへ向かう。
ベッドルームの場所を確認させる為に、ワザと時間を掛けて。
入口のドアを半分程開けたまま、薄暗いベッドルームの中で僕は愉悦さを抑えきれずに鼻歌を歌いながら服を脱ぎ始めた。
ゆっくりと、ゆっくりと………。
へえ……意外と時間が掛かりましたね。
もっと早く来ると思っていたんですけど。
さんがおずおずとベッドルームに入って来た時には、僕はもうアンダーウエア1枚だけになっていた。
怒っているような、泣いているような……それでも期待に満ち溢れた表情。
きっと自分自身も抗えない感情に支配されているんでしょう?
やはり僕の描いたシナリオは完璧だ。
「お願い……虎徹君には……」
掠れた声を絞り出すさんの手首をグッと掴んで引き寄せた僕は
「ええ。
今から始まる行為は、僕と貴方だけの秘密だ。」
そう甘く囁いてから、その勢いのままさんをベッドへ押し倒した。