第19章 Just LOVE 後編
自己満足の強がりだ。
自分でもそんなコトは分かってる。
でもそれは本音でもあった。
アラフォーで子持ちのオッサンが、こんな王子様みたいな男に恋をして、思春期の女の子みたいにビクビクしてるなんて……
滑稽過ぎて笑っちまうよな。
そんな俺とは裏腹に何故かバニーの表情は険しくなっていく。
「本当に好きな人って何ですかッ!
幸せになって欲しいって、何を言ってるんですかッ!
僕の本当に好きな人は貴方で、
僕の幸せは貴方と一緒に居る事なのにッ!」
いきなり俺を怒鳴り付けるバニー。
頼むから、そんな真っ直ぐに想いをぶつけないでくれよ。
バニーの気持ちはスッゲー嬉しいよ?
でも嬉しければ嬉しい程、お前が俺から離れて行った時に苦しさが増すじゃねーか。
だから今の内に予防線を張っておきたいんだよ、俺は!
「だってそれは今だけかもしんないだろ?
今はバニーの傍に居るのが俺だけだから。
この先にもっと違う出会いがあるかも………」
その瞬間、バニーの中で何かヘンなスイッチが入っちまったような気がした。
「言葉だけでは伝わらないみたいですね。
………じゃあ身体で分からせてあげますよ。」
バニーは俺の手首を乱暴に掴むと、リビングの窓際まで引き摺った。
そこは足元から天井までの全面ガラスだ。
タワーマンションの上階から見下ろすゴールドステージの夜景が視界一杯に拡がっている。
そのガラスに両手を付かされ、背後からバニーに羽交い締めにされる。
「バニー……?」
バニー……怒ってる?
初めて見るそんな表情に声が震えた。
そしてバニーは無言のまま、俺のベルトを外し始めたんだ。
「オイッ……
止めろ!」
こんな場所で……ヤるなんて!
俺の腰を抱え込むバニーの両腕から逃れようと身を捩っても、バニーはビクともしねえ。
俺より背の高いバニー。
俺より力の強いバニー。
本気で来られたら、俺はもうバニーには敵わない。
それでも止めろって言ったんだ。
何度も言ったのに………
気が付いたら剥き出しにされた俺のイチモツは、バニーの大きな掌に包まれていた。