第18章 Tintarella di luna 後編
その恐怖を無理矢理に封じ込め、私はワイルドタイガーをじっと見つめた。
「ユーリさんはきっと、
最後の部分で俺とバニーを傷付けたくなかったンですよね?
何で俺やバニーに欲情したのかは分かんないッスけど
俺達に痛みや疵は与えないように、自分が受け入れる方法を選んだ。
だって、ユーリさん…痛くなかったッスか?
特にバニーのなんてホラ………あんな…だし。
でもッ…俺もバニーも与えられたのは快感だけで……」
「Mr.鏑木。」
私はピシャリとワイルドタイガーの言葉を遮る。
ああ………もうこれ以上、聞いていられない。
「私にあんなコトをされておいて、
いくら何でもお人好し過ぎませんか?
ヒーローとしては美徳なのかもしれませんが
大人としてはどうかと……。」
「ユーリさん……」
「買い被り過ぎですよ、Mr.鏑木。
私にされたコトが許せないのであれば、
司法局で私の上長にでも告発して下さい。
まあ、例え裁判になっても負ける気はしませんが……」
まだ何か言いた気な視線を向けるワイルドタイガーを振り切るように勢い良く立ち上がり、私は早々に支払いを済ませ店を出た。