第18章 Tintarella di luna 後編
『月は太陽が存在しなければ輝けない』
これは比喩では無く、科学的に証明された事実だ。
だから……なのだろうか?
私があの男に惹かれてしまうのは……。
静謐に目立たぬように生きて来た私が、光を求めてしまったのはあの男に出会ったからなのか?
屈託のない笑顔で、誰にでも分け隔てなく、光と熱を振り撒くあの男は宛ら太陽だ。
その明るさと温かさを求めてしまうのは罪か?
この私が………
自身の正義に従い、満月の夜に罪人を殺めるNEXT………
ルナティックであるこの私が………
太陽に惹かれるのは必然ではないのか?
そうであれば月と太陽を引き離す存在など許されまい。
オリエンタルの言葉では『女房面』と言うのだったか?
まさしくその『女房面』したあの美しい男。
そんな己の存在を己自身で恨む事になる道程へ私が導いてやるというのもまた一興だ。
LUNACY………
狂った月夜の始まり。
「壊し屋、ワイルドタイガー。
さあ……私も壊してみせろ。」