第1章 Red Lip
「私のNEXT能力はね……
私が素敵だなぁ…って思った人が、
私の事を好きになってくれる能力なの。
だからタイガーもバーナビーも責任とか考えなくて大丈夫。
私が貴方達を素敵って思ったのが原因なんだから。
でもね……結局それって本物じゃないのよね。
しかも私の能力にはその先があって……
1度私に惹かれた相手は、
その後に自分の本当の想いに気付いちゃうっていう……」
自分の本当の想い……
そっか…だからオレもバニーも……
「あーあ、損な役回りよね……私。
でも私が素敵だって思った人が
1度は私に惹かれてくれるんだから役得、なのかな。」
そう言って苦笑いを浮かべたさんはスッと立ち上がり
「今夜はありがとう。
タイガーもバーナビーも……
思った通り、とっても素敵だったわ。」
そのまま部屋を出て行った。
オレはそんなさんの背中に白い羽が生えているように見えて……
「あの人……実はキューピッド…なんじゃねえか?」
なんて呟いてみると
「随分とロマンティックな事を言うんですね、虎徹さん。」
さっきまでグズグズ泣いてたクセに、バニーがもういつも通りにオレをからかいやがる。
「だってよォ……
あの人のお陰でオレとバニーは……」
「ね……虎徹さん、知ってますか?
ローマ神話のキューピッドは、
ギリシャ神話だと『エロス』って言うんですよ。」
「へ!?……エッ……ちょッ…バニ…ィ?」
そのままバニーにドサッと押し倒され……
あー…ちょっと早まっちまったかなーなんて考えつつも、今度はバニーの方から繰り出されるキスが……
そりゃあもー熱くて甘くて……気持ち良くってさ……
こんなに幸せなら、もーどーでもいいやァ……なんて
オレはバニーの首に両腕を搦ませて、そっと目を閉じた。
END.