第13章 君へと続く夢 side TIGER
オリエンタルタウン……
俺の実家に程近い、海が見える高台の一軒家。
今、俺とバニーはここで一緒に暮らしてる。
時折、まだ情緒不安定な様子を見せるバニーのために俺はこの生活を選んだ。
かーちゃんと兄貴と、楓にもきちんと話をして快く認めてもらっている。
シュテルンビルドではBBJの復帰を待ち焦がれる声が大きくなってるみてーだけど、今の所は何とかロイズさんや他のヒーロー達がフォローしてくれていた。
「虎徹さん!」
そう、今はこのバニーの穏やかな笑顔を何よりも守ってやりたいんだ。
「どーした、バニーちゃん?」
「ホラ、楓ちゃんが家へ来るみたいですよ。」
窓から海を眺めていたバニーが、家へと続く長い坂道を登って来る楓を指差して微笑む。
「ああ、またかーちゃんに何かおかず持たされてンだな-。」
「ふふ……今日のおかずは何だろう?
安寿さんの作る料理は何でも美味しいから楽しみですね!」
「そーかーァ?
古クセー田舎料理じゃん。」
「そんなコトないですよ!
僕は大好きです、安寿さんのご飯。
虎徹さんが要らないなら、僕が全部食べちゃいますからね。」
「要らねーなんて言ってないだろー……」
「素直じゃないなァ……虎徹さんってば。」
ニコニコと可愛らしく笑うバニーの姿に俺の表情も自然に綻ぶ。
いつまでこんな生活を続けられるかも分からねえ。
俺とお前が一緒に居られなくなる日が来るかもしれねえ。
それでも俺は最期までお前を愛し続けるよ。
例えばお前がヒーローに戻りたいって言ったとしても、笑って送り出せる自信だってあるんだ。
だって、俺とバニーが出会ったのは………
『運命』なんだから。