第13章 君へと続く夢 side TIGER
俺の初恋だった。
真面目で優等生の友恵が、ヤンチャばかりしてる俺を構ってくれるのがスゲー嬉しかった。
俺はNEXTだったから、周りのヤツらに随分と気味悪がられたりもしたけど、友恵はそんな俺とも何一つ蟠りなく接してくれたんだ。
高校を卒業して、何とかヒーローとして活動出来るようになって………
やっとの思いでプロポーズして………
友恵と夫婦になった。
幸せだったよ。
ホントに絵に描いたような幸せだった。
俺がどんなに無茶したって、友恵はいつも笑顔で待っててくれて………
それで楓が生まれてさ……
自分は世界で一番幸せな男だと思ってた。
こんな幸せが一生続くんだって。
それなのにさ……
楓がまだ4つの時、友恵は病気で逝っちまった。
「あなたは、どんな時でもヒーローでいて。
約束よ。」
そんな友恵の言葉に甘えて、俺は最期を看取ってやる事も出来なかった。
幸せ過ぎたんだ。
俺達は幸せ過ぎて、神様に妬まれちまったんだ。
…………そう思わねーと、俺は生きていけなかった。
そこからは一層ガムシャラだ。
俺はどんな時でもヒーローじゃなくちゃいけねえんだ。
でないと友恵との約束を破る事になる。
その約束を守る為なら、ヒーロー活動中に死んじまっても構わねーなんて……本末転倒な事すら考える始末だった。
そんな生活を続けている内に、最初に所属していた企業が潰れた。
その後、運良くアポロンメディアに拾ってもらって、これでヒーローを続けられると心底安堵した矢先………
俺は『アイツ』と出会った。