第13章 君へと続く夢 side TIGER
あの2人が俺の夢に初めて出て来たのは、多分もう20年くらい前。
寒い季節だった。
そう、街中がクリスマスで盛り上がっていた時期だったと思う。
俺はまだ高校生だった。
オリエンタルタウンで野生児のように育って、好き勝手やってた毎日。
希望だけはデッカくて、いつかレジェンドみたいなヒーローになってやるんだって根拠の無い自信に満ち溢れてた。
そんなガキだった俺が見る夢には、まるで不釣り合いな2人。
カップル……?
いや、恐らく夫婦なんだろうな……年齢的に考えても。
見た目30代中頃の男女。
如何にも品が良さげで、シュテルンビルドのゴールドステージ辺りで悠々自適に暮らしてそうな雰囲気を漂わせてる。
そんな2人が身を寄せ合って、何故か俺に向かって何かを訴え掛けて来るんだ。
最初は何を言っているのかは全く分からなかった。
2人共に悲愴な表情で口をパクパク動かしてるけど、声は聞こえねえ。
だけど段々とその声が俺の耳にも届くようになって……
「……お願い。」
2人が俺にそう言っているんだって気付いた頃、その夢をパッタリと見なくなった。
夢の内容も、何故その夢を見なくなったのかも、俺は不思議には思ったけど、確かその頃の俺はそれ所じゃなかったんだと思う。
友恵と出会ったからだ。