第9章 君の手をひいて
「ねえ……さん。」
バーナビーの視線が私に戻り、真っ直ぐに絡み合った。
「僕も家族は居ません。
だから僕の家族になってくれませんか?」
………………………………………。
「じゃあ………
私がまた誘拐されたら……
バーナビーが身代金を払ってくれる?」
「アハハハッ……
払いますよ、いくらでも。」
「………本当?」
「ええ、もちろん。
でもその前に貴女を救い出して
犯人をボコボコにしちゃうかもしれませんけど。」
「じゃあ………なる。
バーナビーと家族になるゥ………」
それだけを言い切って、後はもう言葉が出ない程に泣きじゃくる私をバーナビーはギュッと抱き締めてくれた。
「立てますか?」
漸く泣き止んだ私の身体を手離したバーナビーが手を差し伸べて来る。
「……ん。」
無意識にその手を握った私の頭の中にまた流れ込んで来たヴィジョンは…………
え………私?
私、どうしてそんな顔してるの?
目を潤ませて、頬を紅潮させて………
何だか苦しそうな…………
そして視線が下りて行くと……………
私、何も着ていないッ!?
「……………ッ!」
パシッとバーナビーの手を振り払い俯いてしまう。
「また何か見えました?」
そう聞かれたって、こんなの伝えられないよ。
「………さん?」
「あの………ぅ……」
きっと今、私の顔は真っ赤だ。
視線を泳がせてモジモジとする私を見て、バーナビーも何かを悟ったみたい。