第7章 love's oracle ~dandelion~ Ⅰ
「………?」
「あのね……ライアン。
私………」
「……ん?」
「私………お母さんに……
今夜は帰らないかもって……言って…きた……」
「…………………ッッ!?」
何かに撃ち抜かれたみたいに鼓動がドクンッ…と爆ぜた。
だからってここで「ハイ、そーですか」ってワケにはいかねえ。
「バカなコト言ってねーで……ホラ、帰るぜ。
お姫様はもうオネンネの時間だろ?」
俺がの両肩に手を掛けて促してやると
「私ッ……子供じゃない!」
は少し強い口調で言って顔を上げた。
その潤んだグリーンアイが俺の視線を固まらせる。
「………やっぱり、私じゃダメなのかな?
こんな自分1人じゃ何も出来ないような私じゃ
ゴールデンライアンには相応しくないのかな?
でも私はもう…こんなに……ライアンが…………」
…………女の口から言わせるコトじゃねーよなァ。
「行くぞ。」
俺はの肩を抱いてそっと立ち上がらせると店を出る。
そのまま無言でエレベーターホールまで歩き………
俺の指が押したのは、自分の部屋があるフロアの数字が書かれたボタンだった。