第7章 love's oracle ~dandelion~ Ⅰ
「ライアンッ!」
「エ…?
……どーして?」
バーナビーに手を引かれてベッド脇まで歩いて来たが、手探りで俺の身体に縋り付く。
俺の無事を確かめるようにギュッと抱き付くの小さな背中を擦りながら、俺はバーナビーを睨んだ。
その視線の意味を察したらしいバーナビーは
「彼女、4時間も貴方を待っていたんですよ。
まさかそのまま貴方に会わせもせずに帰せるワケないでしょう?」
そう言って、『いい気味だ』と言わんばかりに口角を上げやがる。
どーせ俺がヒーローだって事をに黙ってた理由とか、が盲目だってのを話さなかったってのが面白くないんだろ?
「貴方との『お話』が済み次第、
僕がちゃんと彼女は送って行きますからご心配なく。
じゃ、『お話』が終わったら呼んで下さいね。」
そしてバーナビーはニヤニヤしながら病室を出て行った。
『お話』なんてよ……意味深な言い回ししやがって。
《に隠し事なんかしないで真摯に向き合ってやれ》
《病院なんだからエロいコトはするな》
全く、バーナビーの言いたい事が痛い程に伝わってきやがるぜ。
「悪かったな。
待ち合わせ…行けなくて…」
「そんなこと……」
「それから……ヒーローだっていうのも黙っててさ。」
「………ライアン。」
見えていないクセに、のキレイなグリーンアイが俺をじっと見つめてる。
その瞳に怒りや悲しみは浮かんでいなかったが……
ああ……まただ。
どこかで見たコトがある揺れるグリーンアイ。
アイツと……あの時のバーナビーと同じ。
そう、この瞳が浮かべているのは……『怯え』なんだ。