第4章 Loving you is Killing me. 後編
翌朝、ロクに眠れなかったせいで身体が重い。
その気怠い身体を引き摺るようにしてキッチンへ向かうと、そこにもリビングにもバニーが居た痕跡はまるで残っていなかった。
オレが襲われて汚した場所も……綺麗に掃除されていたんだ。
こうなってみると、昨夜のアレは夢だったんじゃねえかって思える。
今日もオレの顔を見たバニーが「虎徹さん!」って、あのキラキラした笑顔で駆け寄って来てくれるんじゃねーか…って。
冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを出して口をつける。
ああ、グラスに注がないとまたバニーに怒られちま………
「ハハッ……バカじゃねーの、オレ。」
嘲笑を漏らし、ドンッと冷蔵庫に背中を預け、そのままズルズルと崩れ落ちた。
「バ…ニ……」
掠れた声でバニーを呼ぶ。
「バニー……バニ、バニー……」
何度も何度も。
「バニーバニー…バニー……バニィ…バニーッッ!」
もう呼べない名前。
じゃあここで呼び尽くしちまったっていいだろ?
オレは膝を抱えて……
ずっと泣きながら……
ずっとずっと……
バニーの名前を呼び続けた。
END.