第10章 キスだけじゃ、誘えない
「あーあ、完全にHOLDされちまったなァ~」
「ちょっと、私のキメゼリフ取らないでよっ」
「いいじゃねーか」
「何よ、そ、そっちこそ、もう夜遅いんだしワイルドに吼えないでよね」
「吼えるかっ!」
二人で軽口を言い合うと、虎徹さんの顔がまた、近づいてきた……
チュッと軽いキスを交わすと、バッと私の両肩を掴み身体を離して、目を合わせてきて
「あ!先に言っとくけど、お前がハイスクール卒業するまで、これ以上は進まないからなっ!」
って……
真面目かっ!?
思わず心の中で突っ込んじゃったけど……
こーゆーところも虎徹さんの良いトコロなんだから。
「ふふっ、我慢できるの?」
いつもの生意気な感じで言ってみた。
すると虎徹さんは、すごく優しい目をして
「これ以上、誘うなよ……」
そう言ってまたキスをしてくれた。
優しくて甘いキス……
そう今はまだこれだけで大丈夫。
だって充分、気持ちが伝わってる。
完全HOLDは、やっぱり
私の方ね。
end❤️