第3章 angel
TRIGGERの九条天
圧倒的な歌唱力とオーラでファンの心を一瞬で奪う。
知らない人はそうそういないだろう、って言うくらい最近すごい人気のある人。
天使のような笑顔で女子の私でも負けてるんじゃないか、って思う。
そんな人と恋愛ドラマとか私ファンに殺されちゃう…
そして今日は、例のドラマの打ち合わせの日だった。
もちろん共演の九条天さんもいるわけで
女子の私でもびっくりするくらい本当に美形。
「杏里役の白羽あすかです。初めてのドラマで緊張していますが、よろしくお願いします。」
よろしくねー、と言葉を交わしながら一通り自己紹介を終えた。
最後は、九条さん。
「 陵馬役の九条天です。よろしくおねがいします。」
いつものファンに向ける笑顔とは裏腹に、とても冷たい目をしていた。
…九条さんって、こんな人だっけ?
テレビと違う彼をみて少し動揺してしまう。
実は超塩で猫かぶりだったり…⁇
ふざけて考えたことだが、それはすぐに確信へと変わった。
撮影日や台本の確認をして解散後、その場を後にしようとしたところを呼び止められた。
…相手は九条さん。
美形な顔を私の耳元まで近づけると、ドキッとしたのもつかの間、私にしか聞こえないような声で彼は
「 君……足、引っ張らないでよね?」
……優しそうで安心してたのに!!