第3章 angel
これはまだ、私たちCanereがデビューしたばかりの頃のお話。
「本日のゲスト、Canereのお二人でしたー!」
「「ありがとうございましたー!!!!」」
「「「きゃああああああああ!!」」」
慣れない身のこなしで音楽番組の収録を終えると、会場は熱気に包まれれていた。
「お疲れ様、あすか、零。」
そう声をかけてくれるマネージャーの紫苑さんに次のスケジュールを聞きながら会場を後にする。
そういえば…と何か思い出したように紫苑さんは
「あすか、ドラマの主演決まったわよ。」
「へー……ってえ!?!?!?」
ちょっと待って私そんな話聞いてない…
紫苑さんは私の考えてることに気が付いたのか、
勝手によかれと二つ返事で引き受けたらしい。
いや私の意見は!!!!
隣で「がんばれ、あすか」と微笑んでくる零ちゃんは本当に天使だと思う。
「 週1の恋愛ドラマで、相手はあの九条天。
お互い初ドラマだからあんまり緊張しないで済むんじゃない ⁇」
引き受けちゃったんだから仕方ないでしょ、と付け足しドラマの詳細について教えてもらった。
演技とか本当に自信ない。
え、ていうか相手…
「九条天!?あの、TRIGGERの!?」
これが、きっかけ