第5章 streetPass
「私、天くんのこと好きなんだ〜!」
荒瀬さんのそんな声が聞こえてきたから、
私は咄嗟に隠れてしまった。
「ステージの上では天使!って感じだけど、意外とクールだよね、」
そのギャップがいいんだけど!と笑い合ってる彼女たちの
次の言葉にドキっとした。
「でもさ、あすかちゃんと仲良いよね、九条くん。」
「あすかちゃんと天くん釣り合ってないし大丈夫でしょ。」
私にもチャンスあるかも、なんて言う彼女たちの会話を
盗み聞きしてしまった罪悪感と、
聞かない方がよかった、っていう後悔をしながら聞いた。
___釣り合ってない、かあ。
その言葉は、今の私に一番深い傷を負わせた。
そんなの、自分が一番わかってる。