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君と僕とが主人公LS

第18章 8月 Ⅴ


「アリスちゃん!久しぶりね!」


迎えてくれた青峰の母は、子供の頃のアリスを覚えていたらしい。
ここが日本だと言うことを忘れる様なハグでの歓迎だった。


『お久しぶりです。』


やっとハグから解放されたアリスはきちんと頭を下げて挨拶をしたが、内心ではとても混乱していた。
自分自身が忘れてしまっている過去の自分を知る人と会うのは酷く緊張するうえ、この反応からするに幼い自分は彼女に懐いていたのだろう。


「さぁ上がって!さつきちゃんも来てるのよ。」


そう言われ手を引かれ案内された和室には、浴衣や帯、和物の飾り物が足の踏み場が無いほどに広げられていた。
今夜、この近くで祭りがあるらしく桃井は青峰の母に浴衣を着せて貰いに来ていたのだ。


「アリスちゃんにはこっちかしら。」

「この帯も素敵ですよ。」


既に浴衣の着付けが住んでいた桃井は、戸惑うアリスをそっちのけで彼女にどれを着せるか青峰の母と盛り上がっている。
アリスを呼んだ本人である青峰は部屋に入る事を禁じられ、つまらなそうに自室に戻ってしまった。


「嬉しいわ、こんなに可愛い娘が一度に二人も!」

『あの、私も着るんですか?』

「当然!この夏最後のお祭りだもん!」


二人の勢いに押されて、アリスはまるで着せ替え人形の様。
しかし、母親を早くに亡くし、ずっと海外生活だったアリスには、こうして日本の伝統衣装を着る事が出来るのは嬉しいこと。
これがいい、あれにしよう、と二人が選んだ浴衣と帯で仕上がった姿には、着ているのが自分でも感動して言葉が出ない程だった。


『…ありがとうございます。』


あまりの感動に涙交じりの感謝の言葉を伝えたアリスに、桃井まで貰い泣きしそうになる。
この後、友達と約束があるからと着せてもらった浴衣で出て行く桃井を見送り、アリスはそろそろ自分は着替えようかと思っていた。


「大輝!アリスちゃんの着付け終わったわよ!」


階段の下から彼に向けて声をかけても返事がなく、待っている間に寝ちゃったのかしら?と青峰の母は呆れ顔。


「悪いんだけどアリスちゃん起こして来てくれる?」


奥の部屋だから、と頼まれ着慣れない浴衣でどこか歩き方のぎこちないアリスは必死に階段を登った。
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