第15章 8月 II
アリスは着痩せするらしく、桃井に負けない豊満な胸が揺れる。
「アリスちゃん可愛い!」
『今年の新作、買っちゃった!』
キャッキャはしゃぐ女子二人。
「火神君、青峰君、鼻血出てます。」
黒子に言われバッと鼻を押さえた二人に「嘘です」と冷たい視線を向けた。
それだけ二人がアリスをじっと見ていたと言いたいのだろう。
黒子と桃井はこのままここで日光浴を楽しむと言い、アリスと火神、青峰が水辺と歩く。
彼女とすれ違う男達は立ち止まり振り向くが、殺気立った猛獣二匹がそれ以上を許さない。
声などかけようものなら噛み殺されそうな勢いだった。
日が暮れるまで思いっきり楽しんだ五人。
はしゃいで疲れたのか帰りの電車でアリスはウトウトとしている。
「よかったね、大ちゃん。」
そんなアリスを優しい顔で見ていた青峰に桃井はこそっと言った。
「お前等がいなきゃ最高だったのによ。」
「もう!」
酷い!とむくれる桃井だが、きっと彼女も楽しかったに違いない。
アリスの隣では黒子も疲れてぐったりしていた。
「でもまぁ、コイツ等とつるむなんざこれが最後だろうからな。」
すぐにウインターカップの予選が始まる。そしたらまた、お互い敵同士だ。
「そうだね。でも、今はいいでしょ?」
桃井が黒子を好きな事を知っているからそうだな、と一言。
いくら彼女は誠凛バスケ部に正式に入っているわけではないと言えど、大会が始まってしまったら敵校の生徒。
仲良く過ごしているなんて考えられない。
心地よい振動に揺らされていたが、そろそろ降りる駅に着いてしまう。
駅に着くと黒子は桃井を送って行くと言って別れた。
「つか何でお前も降りてんだよ!」
当たり前に同じ駅で降りた火神に噛みついたのは青峰だった。
「は?お前こそなんでいるんだよ。」
『どうかしたの?』
まだ眠たそうな顔をしたアリスが睨み合う二人を不思議そうに見た。
どちらが自分を送って行くのか揉めているとは思ってもいないのだろう。
大きく伸びをすると『行くよ』と一人歩き出してしまった。
人通りの少ない住宅街に入るとすぐにアリスの住むアパートが見えてくる。
メゾネット式のアパートは外観は一軒家が繋がって建っているように見える。