第14章 8月
待ち合わせ場所に現れた木吉にも驚かされたが、もっと驚いたのはアリスの格好だった。
ダボっとしたロングTシャツにショートパンツ。まるで下に何も履いていない様に見える。スニーカーソックスにランニングシューズ、逆向きにかぶったキャップ。
如何にもストバスをしに来ました!という格好にみんな見惚れる。
大きなバッグにはみんなの分もお弁当作って来たよ、とアリスは微笑んだ。
エントリーを済ませ、試合までの待機時間に軽く食事をとる。
たくさんの露店も並んでいて、美味しそうなジャンクフードが売られていた。
アリスの作ってきたお弁当の大半は火神が食べ尽くしてしまい、それでも足りない、と追加を買っていた。
『2号にはこっち、ね。』
犬が食べても大丈夫な食材で作ってあったサンドイッチをアリスは手に乗せる。
ワンワン!と尻尾を振ってそれにかぶりつく。
よしよし、と楽しそうに2号の頭を撫でるアリスを見て、火神と黒子は顔を見合わせ笑った。
試合が始まるとアナウンスが流れ、みんなはコートへと急ぐ。
アリスはゴミを片付け、2号と一緒に観客席へと向かった。
「あれ〜、こっちじゃないのかなぁ〜?」
お菓子のいっぱい入ったコンビニ袋を持った大男が前を塞ぐ。
どうやら道に迷ってしまっている様で、キョロキョロとイベント会場内を見回していた。
その体格からして、バスケをやっている、もしくはやりにきたのは間違いないだろう。
『あの、どうかしましたか?』
「え、何〜?」
声をかけられ振り向いたが身長差がありすぎて彼の視界にアリスが入らなかったらしい。
『私もストバス見に来たから。』
「うわぁ!可愛い!!」
やっとアリスに気が付いた彼はひょこっと屈んで満面の笑みだ。
これ食べる?とチョコレート菓子を差し出してくる。
聞けば友達とこの会場で待ち合わせをしているらしいが、正確な場所がわからず探していたという。
それならばイベント本部に行って迷子案内ではないが、お友達を呼んで貰うのが早いだろうと二人と一匹は人の多い方へと向かった。
「あ、室ちんいた!」
『よかったですね。』
「うん、ありがとう!またね!」
大きな体をしているのに、まるで小さな子供みたいな彼はニコニコと手を振り人の波の中へ歩いて行く。