第14章 8月
夏休み中ぐらいはアリスに頼るのではなく、部員達交替で2号の世話をしようと決まった。
だから今夜からしばらくは預けに行かない事を伝える為、黒子が代表して彼女に電話をかける事になった。
「なぁ、ストバスにアリスも誘ってみねぇか?」
ついさっき、カントクからお許しを貰ったストバスのイベント参加。
火神の提案に一年生仲間は「いいね!」と喜ぶ。
しかし、スマホを手にした黒子はあまり乗り気ではない。
最近、アリスは少し変わってきてはいる。
今までなら自分からバスケに関わる事を避けていたが、それが無くなってきている。
本当はバスケをやりたいのに、何か理由があって自分でやらないと決めているような感じがした。
前に手の怪我をやらない理由だと話していたし、実際にそれも理由の内なのだろうがもっと他に、何か彼女をバスケから無理矢理引き離す様な理由がある気がする。
だからストバスに誘うなんて、地雷行為だ。
「本当に誘うんですか?」
火神はアリスの事情をちゃんと知って言っているのか?と目で訴える。
「あぁ、ついでに聞いてみろよ。」
黒子の真意が伝わっていないのか、それとも大丈夫だと自信があるのか、火神はバーガーをモサモサ頬張りながらあっさりと言った。
2号の事を伝えるだけだったはずなのに、大役ではないかと黒子の気は重い。
呼び出している電子音が途切れ、アリスの声が聞こえるまで変に緊張してしまった。
『…ちょっと寂しいけど、わかったよ。』
「はい、だからしばらくは2号はお邪魔しません。」
はやくストバスに誘え!と火神他三名の視線が突き刺さる。
「それで!あの、明日なんですが。」
『明日?』
「ストバスのイベントに一緒に行きませんか?」
言った!と黒子の緊張が他のみんなにも伝わっていく。
『面白そう!』
アリスの明るい声に、普段あまり感情を外に出さない黒子でも嬉しい!と表情を緩ませた。
それを見たみんなは大喜び。
待ち合わせの時間を伝えると電話を切る。
はぁ、と緊張から解放された黒子は小さく溜息をついた。
よくやった!と火神はぐしゃぐしゃとの頭を撫でる。
「次は火神君が誘って下さいよ。」
「あぁ!わかってるって!!」
明日のオフは楽しい一日になりそうだ、とみんな笑顔でファミレスを出た。