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君と僕とが主人公LS

第67章 新9月 Ⅰ


ドカドカと大きな足音で外に飛び出したアリスに、何事か?と様子を見ていた克也はクスッと笑う。
もしかしたら、今度は娘の方がアメリカへいってしまうかもしれない。


「I can’t imagine live without you!」
(お前のいない人生なんて考えられない!)


火神の言葉はにアリスは何も返すことができなかった。
始業開始のチャイムが鳴っても、昼食時間になり教室が賑やかになっても、アリスはボーっとしたまま。


「アリスちゃん?」


クラスメイトに声をかけられても、アリスはぼんやりと宙を視点の合わない目で見つめていた。


「どうしたのかな?」

「失恋したとか?」

「えー?キセリョと?」

「それ、違うらしいよ。」

「そうなの?」

「そうそう、アリスちゃんの本命は別!って。」


いつの間にか、クラスメイト達の話はアリス本人の心配よりも、彼女の思い人が誰なのかで盛り上がり始める。
そんなことになっている事にも気がつく事もなく、アリスはずっと昨夜の火神のことを考えていた。
それはまるで愛の告白。
昔、一緒に見た映画の中で、主人公がヒロインに言ったセリフそのままだった。


『…I was born to love you.』
(あなたを愛するために生まれてきた。)


確か、ヒロインは嬉し泣きをしながらそう答える。
思い出しながら無意識に呟いた言葉。
自分もあの映画のヒロインの様に、火神の想いに応えられたらよかったのだろう。


「…アリスちゃん、本当にどうしちゃったんだろうね。」


アリスの不調は放課後の部活の時間まで続いていた。
普段なら絶対にやらない様なミスも多く、練習にも全く集中出来ていない。


「アリスさん、体調が悪いんでしょうか?」

「なんか朝からあんなだったんだ。」


クラスメイト達も心配してた、と降旗は言った。


「火神君、何かしたんですか?」


そして彼女同様に、普段は失敗することなどないレイアップシュートを外した火神を黒子がギロっと睨んだ。


「お!俺はな、なんも…!」

「…したんですね。変態。」

「へ?!ヘンタイ?!」


どうせ焦ってせまったんでしょう、と黒子のジトッとした目が火神を見る。
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