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君と僕とが主人公LS

第63章 新 8月 Ⅳ


朝食にはこれも混ぜて欲しい、とあらゆるサプリを取り出すリコを日向は慌てて止めているし、若松は我関せずを貫いている。
たった一晩だが、昨日とは明らか雰囲気が違う。
それぞれ好き勝手にしているが、みんなが同じ場所で同じ時間を過ごしている。


『…なんか楽しくなってきたね。』


ここに今は自分もいる、居場所があると思うとアリスは自然に微笑んでいた。


「さぁガキ共、しっかり食え!食い終わったらスカウティングすんぞ!」


DVDを何枚か手にした景虎の声に、各々返事をした。
タイミングよく朝食の準備も整い、取りに来いと厨房から声がかかる。
基本的にはみんな同じ和風メニューだが、それぞれに合わせて量がしっかり調整されており、また個人的に不足していると思われる栄養素を摂取できる様におかずに何種類か違いがあった。
どの料理にもサプリが混ぜられているなんてこともなく、普通に美味しい。流石食べ物のプロだ。
普段はサラダとパン等、洋風の朝食のアリスや火神には、朝からしっかりご飯と味噌汁が出て来る事が新鮮で、ニコニコそれを頬張っている。


「なんて言うか。そっくりですね、お二人は…。」


よく朝からそんな勢いで食べられますねとちょっと呆れた様に言った黒子は、あまり箸が進んでいない。
あまり肉料理は好きではないアリスも、焼きシャケは食べ難い骨も少なくとても美味しい!と喜んでいるし、火神は既に三杯目のご飯を食べている。


『無理して食べなくてもいいんじゃない?私はお腹空いたから食べてるけど、空かないときは無理して食べないよ。』

「そうなんですか?」

『普段からそうだよ。まぁ全く何も食べないって事はないけど。ジュース飲んで終わりとか、水飲んで終わり、とかもあるし。』


今まで、体力を付けたければ食べろ、食べろと言われていた黒子はアリスの言葉に安心した様な、嬉しそうな顔をする。
本当に身体が必要だとしているなら、食べられないって事はないはずなんだから、とニコッと笑ったアリスに、そうですね、と黒子も微笑む。
そんなやり取りを隣で聞いていた火神は、要らないなら貰うぜ、と黒子のおかずに遠慮する事なく箸を伸ばしていた。


「全く…。あれじゃ折角のフードコーディネートの意味がないわ。」

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