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君と僕とが主人公LS

第61章 新 8月II


まるで口喧嘩をする子供の様に騒ぎ始めたエース達に、控えの面々は大きな溜息を零した。


「アリスちゃんあとはよろしく〜。」

「俺達は向こうで先にアップするわ。」


後は頼んだ、と荷物を手にその場を離れる彼等は流石今のチームメイト達と言ったところだ。
一通り騒がせればそのうち治るだろ、とあっさりしたものだ。


『タイガ!青峰君!涼太!』

「「「?!」」」


強い口調で名前を呼ばれた3人は、ビクッと動きを止める。


『一番動けた頃の私でも一人ではナッシュに本気を出させる事は出来なかった。意味、分かる?』

「まぁ、一度はプレイ見てるっスから。」

『涼太!この前の試合、今吉さん達には申し訳ないけど、彼等はただ遊んでいただけよ!あれを見て見たと言ってるなら大間違い!』


だからくだらない事で揉めてないで、さっさとアップしろ!とアリスは言った。
何で俺ばっかり、とベソをかきながらも口喧嘩の輪から真っ先に抜けた黄瀬。
青峰と火神も静かに後退り、いそいそとアップを始める。
すでに緑間はマイペースに体を温め始めており、赤司はいつの間にか相田親子の元へ移動していた。


「無理はしないで下さいね。」

『大丈夫!ありがとう、黒子君。』


じゃあ僕も行きますね、と火神達の方へ小走りで向かう後ろ姿に張り詰めていた緊張の糸が緩められた。
ふぅ、と小さく溜息を零したアリスはうんうん、と何かに頷く。もう、逃げないと自分で決めたのだ。だからもう、泣いて震えて逃げるなんてしたくない!と左手を握る。


『リコ先輩、私も混じっていいですか?』

「えぇ!本気で見せ付けてやって!」


その方がより早く、ジャバウォックのプレイスタイルを崩せる様になるだろうから、とリコは言った。
今のお互いの実力をしっかり把握させる為に、初日の練習は彼等に好きにやらせとく、と景虎は言った。
いくらお互い知っていると言っても、同じコートで同じチームとして戦うのは初めてと言ってもいい様な状態だ。
個々のスキルはとても高く、だからこそ並みの相手ならばこの面子を揃えるだけで楽勝なのだろうが、今回の相手は違う。
まさにその名の通りジャバウォックは怪物だ。
そしてかつてその怪物の一端を担っていたのがアリス。
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