第61章 新 8月II
彼女の登場にエース達5人がタイミングピッタリにその名を口にした。
どうやら黒子や桃井は彼女も呼ばれていると知っていた様で、特に驚いてはいない。
「アリスちゃんが帰国子女なのは知ってんだろ?だからまぁ、通訳を兼ねて助けてもらう事にした。」
「今回、アリスちゃんは完全にサポート役になってもらう事になるわ。」
アリスもいるのか!と喜ぶ面々の後ろで、黒子は複雑そうな表情を浮かべていた。
確かに彼女がいれば、アクの強いこのメンバーでも大きく揉める事なく事が進むかもしれない。
けれど、彼女が個人的にジャバウォックと何か過去にトラブルがあったことは昨日の様子からもわかる。
『後から知られて誤解されても嫌なので、最初に話します。』
ニコッと笑ってみんなの歓迎に答えた彼女は、そう言うとキリッと表情を変えた。
『日本に戻る半年前まで、私はジャバウォックのリーダー、ナッシュの恋人でした。』
あまりの衝撃的な言葉に、赤司ですら言葉を詰まらせてしまう。
ましてバカ正直な青峰や火神は、ただ、ただ驚き、黄瀬に至ってはすでに涙目だ。
『でも、彼は私から大好きなバスケを奪った人!』
そう言うとアリスは左手をぎゅっと握る。
『だから彼に対して恋愛感情は微塵もないし、勿論未練もない!本当はみんなと一緒にプレイヤーとして、彼と戦って倒したい!…けど、今回はみんなにそれを託します。』
だから絶対に勝ちましょう!とアリスはキッパリと言い切った。
「って訳だ。アリスちゃんと桃井ちゃんのおかげで、かなり奴等の情報は集まってる。後はお前達がどこまでやれるか、だ。」
どうだ?と景虎は挑発的な目を向けた。
「如月の過去はどうでもいい事なのだよ、やるからには人事を尽くす。」
「そ、そーっスね!元カレがいたってのは聞いてたし。まぁ、ちょっとビックリしたっスけど。」
「はぁ?黄瀬お前、知ってたのかよ?」
「そりゃ俺が惹かれる女性なんだから、恋人の一人や二人、いて当然だろ?」
「はぁ?赤司お前、何言ってんだよ!」
「青峰っち、動揺し過ぎっスよ!」
「つか、火神!テメェ幼馴染なんじゃなかったのかよ?」
「…いや、そうなんだけど。」
どんどん盛り上がる話題が逸れていく。