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君と僕とが主人公LS

第61章 新 8月II


だから安心して下さい、と黒子は精一杯に笑って見せた。
手当を終え、体育館に戻ると八つ当たりするかの様な刺々しく激しいダンクを火神が決めた所だった。
監督もキャプテンも不在の今日は練習はここまでにしよう、と解散になる。
アリスは心配して着いて行くと言った黒子と火神に大丈夫だから、と一人家路に着く。
帰り際、リコからの連絡で彼女の父親が指揮する即席チームのサポートに加わって欲しいと言われた。
もし、それを引き受けたら嫌でも彼等と再会する事になってしまう。


『大丈夫、大丈夫!私はもう逃げない!』


自宅へと向かう道、何度もそう繰り返し繰り返し自分に言い聞かせた。
本格的に気温が上がり始める少し前、都内の体育館に集合したかつてのチームメイト。「キセキの世代」と呼ばれる高校生スーパープレイヤー達が顔を揃える。
そんな彼等のいるチームを破り、昨年のウインターカップで優勝を果たした誠凛から火神も勿論、相田景虎は招集していた。
京都在住の赤司も、口では面倒臭いと言っている紫原も、突然の招集にも関わらずしっかりこの場に来ている。
今は各々、それは外に出してはいないがきっと同じ想いを抱いているに違いない。


「キホン全員、はじめましてだな。」


仲が良いのか悪いのか、賑やかになる面々を一瞥した景虎は簡単に今回の経緯を話す。
全員、自分達が何の為に集められたのかはわかっていたが、改めて言われた事で気合いが入り直った。


「派手にいこうぜ!」


景虎の言葉に全員の表情が引き締まる。
ジャバウォックとの再戦は一週間後、試合会場の再設定も急ピッチで進んでいる。


「テツくーん♡」


桃色の長い髪が黒子に飛び付き、その勢いで倒れ込む、昔よく目にした光景に青峰は苦い顔をした。
どこか懐かしそうにそれを見た赤司は「控えの選手もいると聞きましたが…」と親子で戯れ合う景虎へと視線を戻した。


「遅れてすんませーん。」


まるでタイミングを計ったかの様に体育館にやって来た見知った今のチームメイト達。
ニコニコ愛想良く手を振る高尾は相変わらずで、青峰の口の悪さに青筋を立てる若松もいつも通りだ。
招集された面子に圧倒されかけていた日向の後ろから、ひょこっとアリスが顔を出した。


「「「アリス!」」」
「アリスっち!」
「如月!」
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