• テキストサイズ

君と僕とが主人公LS

第56章 新 6月 II


そうだね、とアリスの表情に笑みが戻った。
いつか自分の隣にいる王子様は本物のお姫様を見つけ、きっと彼女の手を掴みに行く日が来る。
けれど、それはもう少しだけ先になってほしいと思ってしまう。


「ねぇアリスっち?」

『なぁに?』

「大好きっスよ!」


人目につく街中を歩いていなかったら今すぐハグしたいところだ。
だから子供の様に繋いだ手をブンブン振って歩く。
すれ違う人達は、高校生のカップルにしては微笑ましいその姿にクスクスと笑っていたが、全く二人は気にしていない。むしろ楽しそうに歩いていた。


「今年の東京代表校は、桐皇と秀徳、それと誠凛で決まりだろうな。」

「今年のインターハイは凄い事になりそうですね!」


東京都代表校が決まる予選決勝リーグの様子を取材に来ていた月刊バスケットボールのカメラマンと記者は話す。
あと数分もすれば彼等の言葉が現実になるだろう。


「あれ、あの子…!」


大きなカメラを構えていた青年は、目を一度それから離すとドリンクボトルやタオルが入ったバスケットを抱え、慌しく走って行く一人の少女を見つけた。
カメラマンの声に中年の男もそちらへと視線を向ける。


「あのジャージは誠凛か?」

「ですね。」


無意識にカメラマンはシャッターを切る。


「芸能部の奴が撮ったってのは確かあの子だろ?」

「ライバル校のマネージャーだったんですね。」


彼女が会場から出て行くと、最後の試合終了のブザーが鳴り彼等の言葉が現実のものになった。
昨年はここで敗退してしまった誠凛高校だったが、今年は無事本戦へと駒を進める事が出来た。
無冠の五将、鉄心と呼ばれた木吉が抜けてしまい大きく戦力ダウンしたと思われたが、彼の抜けた部分をしっかりと埋めてさらに戦力アップもしていた。
最終戦の結果を見届け、自分達の本戦出場か決まった事を、誠凛高校のメンバー達は抱き合ったりハイタッチをしたりして喜んでいる。その中に彼女の姿もあった。


「これで安心しちゃダメよ!」

「「「おぉーっ!」」」


相田の言葉に全員が気合の入った声で返事をした。
体育館内では他にも喜びの声と、悲しさや悔しさの声が上がっていた。
その様子をカメラマンは写真におさめ、記者は手帳にこの様子を書き記す。
/ 439ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp