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君と僕とが主人公LS

第55章 新 6月


広げていた教科書をパタンと閉じた火神は、一気に麦茶を飲み干してしまった。


『ったく、タイガちゃんと覚えたの?』


せめて記号問題とか穴埋め問題で確実に点数を稼がなきゃ!と閉じられていた教科書を開く。
そして楽しそうにしていたアリスの表情がどんどん引きつっていく。
その理由はテスト範囲のほぼ全ての文章にマーカーが引かれていた。
確かにこれを全部覚えられるならば満点間違いなしだが、そんな事が出来るはずがない。


「火神君、やっぱり馬鹿でした。」

『もう諦めたら?』


こんな調子では他の教科の教科書もマーカーだらけになってしまいそうだ。


「とりあえず、歴史は一夜漬けの年号暗記にしましょう。」

『なら次は私が数学教えるよ。』


さぁやるよ!と数学の教科書をバン!っとテーブルに出した。
問題を解く前に、まずは基本から覚えなければ話にならない。
最低限頭に入れておかなければならない数式に火神に代わってアリスがマーカーでラインを引いていく。
その様子を横から覗き込んでいた黒子は、的確なマーカーに感心してしまう。


「凄いですね、アリスさん。」

『基本的な問題だけで点数稼がないとさ。』


よし、とテスト範囲最後のページまでチェックを済ませたアリスはそれを火神に差し出した。


『これ、みっちりツルッツルの脳みそに刻み込んでよね!』

「…はい。」


ニコニコな表情なのに全く目が笑っていないアリスの凄みに負け、火神は大人しく教科書を開いた。


「アリスさん、あの、お風呂お借りしてもいいですか?」

『え、あ…うん。』


気が付かなくてゴメン、と苦笑いを浮かべた。


『好きに使って。黒子君が戻るまでみっちり教えとくから。』

「よろしくお願いします。」


黒子が退席し、二人とも無言で教科書に向かう。
しかし、それはあまり長くは続かなかった。


「なぁアリス。」

『なに?』


どこがわからない?と問題を解いていると思っていたノートを覗き込む。
しかし、そこは真っ白で今まで真剣に考えていると思っていたのに何をやっていたのか、とアリスは火神を睨むように視線を動かした。


「青峰の事が好きなのか?」

『は?』


そんな事をずっと考えていたのか、とアリスは脱力してしまう。
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