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君と僕とが主人公LS

第53章 新 5月 Ⅳ


合宿中、確かに日が経つ毎に彼女の表情が暗くなっていっている事には気が付いていたが、自分がマネージャー業しか出来ない状況にあり、バスケが出来ない事に落ち込んでるんだと思っていた。
目一杯に蛇口を開いて勢い良く流れ出る小さな滝の中にアリスは頭ごと突っ込んだ。
昔はよくこうやって、試合後の昂りを鎮めていた。
泣いた事でポーっと熱を帯びていた顔も流水に冷やされていく。


『…はぁ、はぁ、はぁ…。』


水道から離れると、髪からボタボタと水が落ちコンクリートの色を変えた。
いくら落ち込んでいたとはいえ、黄瀬に甘えてしまった事、あんなに他人の前で泣いてしまった事を思い出し、冷えた頬がまた恥ずかしさで熱くなる。
髪を束ねてギュッと絞ってから、借りたタオルで顔を拭った。
黄瀬愛用のフレグランスの匂いにフワリと包まれ、またじゅわりと涙が込み上げそうになるのを必死に我慢した。
はやくみんなと合流しなくては余計な心配をかける事になってしまうと、アリスは急いで体育館前の集合場所へと向かった。


『すいません、お待たせしました!』

「どうしたの!びしょ濡れじゃない?」


既に集まっていた誠凛のみんなの中に黄瀬はおらず、しかし自分が運ぶはずだった荷物はそこに置かれていた。
肩にタオルをかけてはいるが、髪はまだぐっしょりとしているし、Tシャツの肩の辺りも濡れて色が変わってしまっている。


『ちょっと暑かったので、頭ごと顔洗っちゃいました。』


アハハと戯けるアリスに、呆れ顔の相田はこれで全員揃ったわね、とこの後の話を始める。
自分は一度学校へ戻るが自宅がここから近い人はこのまま帰宅しても構わないと彼女は言った。
ビブスやドリンクボトル等の荷物は、相田の父親が今から車でここに来て運ぶのを手伝ってくれるから問題ないと言った。


「お前、どーすんだ?」

『うーん、どうしようかな。』


まだ近くに黄瀬がいるんじゃないか、とアリスはキョロキョロとしている。


「黄瀬君ならあっちに行きましたよ。」


体育館脇にある小さな公園。
タオルも借りたままだし、ちょっとお礼を言ってくるとアリスはそこに行くと言った。


「俺達も行く。」


だろ?と火神に同意を求められた黒子は「はい」と頷く。
取り敢えずここで一旦解散だとの日向言葉にそれぞれが帰路につく。
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