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君と僕とが主人公LS

第52章 新 5月 Ⅲ


周りのプレイヤーがスローモーションで動いている様に見えるようになり、ディフェンスをぬくことが容易く出来るようになってしまったのだ。誰も彼女を止められない。
アリスの才能の開花が一番早かった事も悲劇を迎える事になった要因だったのかもしれない。
その日、初めてアリス率いるバンダースナッチは、ジャバウォックに勝利した。
その試合をきっかけに、バンダースナッチは勢いに乗りその後のゲームは全戦全勝。
そしてその日はやってきてしまった。


「女のお前に負けるなんてありえねぇ!最強は俺なんだよっ!!」


ゴール下の鬩ぎ合い。
ボール目指して飛んだはずなのに、アリスの視界には薄汚れたコンクリートが広がった。
本能的に防御しようと手をついたアリスのそこへ、大きな足が落ちる。


『うぁあああっ!』


ちょっとの接触や負傷ではプレイは止まらない事が多いストバス。
しかし、アリスの悲鳴にコート内外、そこにいた全員が動きを止めた。


「…残念だったな、アリス。恨むならお前に才能を与えた神を恨め。」

『なっ、シュ…』

「アリス、お前はここで終わりだよ。」


その後、主力選手だったアリスを失ったバンダースナッチは解散。
ジェイソンはナッシュに誘われジャバウォックに合流。
試合中の不運な事故でバスケ選手を引退せざる終えない怪我をしてしまったアリスは、その半年後に日本に帰国したのだ。
全てのゲームが終わった、しかし途中で体育館から抜けた二人はまだ戻っていない。
きっとあのまま、青峰のサボりに付き合わされているのだろうと思っていた。


「テツ君、青峰君見なかった?」

「青峰君ならアリスさん抱えて行ったまま戻ってないと思いますが…。」


まだアリスさんも戻ってませんし、とゲームが終わって片付けが始まっているフロアへと視線を向けた。
もし彼女が戻っていれば率先してそれに参加しているだろう。
けれどその姿は見当たらない。


「全く、どこ行っちゃったのかしら。」


スマホを手に桃井はまったく、と愚痴りながらも彼を探しに出て行く。
もう少し見つけ出さずに二人にしてあげればいいのにと思う半分、桃井に見つけられこっちに戻ってきて欲しいと思う半分。
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