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君と僕とが主人公LS

第52章 新 5月 Ⅲ


彼女より少し年上の彼は、通っているハイスクールのバスケクラブでもチームリーダーを務めている。


「今の俺達にはもう勝てない相手がいない。だろ?」

「退屈だよな、確かによ。」

『そう?私は楽しいよ?』


大好きな彼と一緒に、大好きなバスケができるだけでアリスは楽しいと言った。
それを聞いた彼は、彼女を抱き寄せ髪にキスを落とす。
今はとても幸せにだと言うように微笑む彼女の事は愛おしいと柔らかな目で笑っていた。
しかし、バスケとなると話は別のだ。


「チームを分けようかと思うんだ。」


グリフォンの強さに惹かれて集まってきた仲間達は、今はチームを二つに分けてもメンバーが余る程になっていた事も彼にそう考えさせた理由でもあるのだろう。
今日のこの後の試合は、どんな風にチームを分けるのか選考をしようと思うと彼は言った。
この時はまだ別れるといえど、チーム内の紅白戦ぐらいだとアリスは考えていた。


「次はお前達が対戦相手だ。」

『うん!負けないよ!』


だから大好きな彼と別のチームに分かれても何の不安も不満もなかった。
この日、元は一つのチームだったグリフォンはジャバウォック(Jabberwock)とバンダースナッチ(Bandersnatch)に別れたのだ。
これが悲劇の始まりだった。
夏も終わりに近付いた頃、アリスはとても調子が良かった。
今まで上手く出来なかったプレイも身体が柔らかく自然に動いていく。
スピードも上がり、得意だったトリックプレイにも磨きがかかる。
それでも体格差は縮まらないし、どんなに頑張ってもダンクは打てない。
けれどバンダースナッチのチームメイトとの連携がスムーズに取れる様になり、出来ない所を出来る人がカバーし合う、理想的なチームになっていたのだ。
けれどジャバウォックには一度も勝てていない。
それどころかメキメキとその力を上げたジャバウォックは、対戦相手をおちょくる事を楽しむ様なプレイばかりするようになり、それでも負けない名実共に最強チームになっていた。
毎週末、拠点にしていたストバスコートで何度も対戦して来たが、バンダースナッチは最後の最後に攻めきれずに負けてしまう。
その夏最期のゲーム中にアリスの才能は何の予兆もなくの開花した。
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