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君と僕とが主人公LS

第52章 新 5月 Ⅲ


確かめる様に、まるで何かを求めているかの様に、離れてはまたすぐに角度を変えて重ねられる唇。
それは挨拶や親愛の情からするキスではないと嫌でも伝わってくる。
呼吸をしたいと僅かに開いた隙間から、舌を侵入させられそうになり、まだ力の入らない腕で必死に青峰の大きな胸を押し返そうとアリスはもがいた。
きっと今までの青峰ならば、ここで引いていただろう。
しかし、更に深くアリスを求める様に、そのまま彼女を食らってしまいそうな勢いは止まらない。
顎を抑えていた手が離れ、頬を包みように撫でられる。
熱の引いていく頭の中に大好きだった人との思い出が蘇り、アリスはツーっと涙を流していた。
愛し愛されていると思っていた人との幸せな時間、そしてそこまで愛した人を変えてしまった事も。
彼を変えてしまったのも、きっかけは自分が勝ってしまった事だった事が蘇る。


『やめてっ!』


それが今の自分達に重なってしまう。
もし青峰も彼の様に変わってしまったら、そう思ったら彼を思い切り突き放してしまっていた。


「そんなに嫌かよ。」

『…ちがっ。』

「もうお前を欲しがったりしねぇよ。」


悪かった、とそっとアリスにタオルをかけて青峰は控え室を出て行ってしまった。
一人残された彼女は、彼と同じ柔軟剤のいい匂いがするタオルに顔を埋めて泣いてしまっていた。
不意に思い出してしまった過去のせいで体だけではなく、心まで疲れ果ててしまったアリスは、そのまま眠ってしまった。
そして夢を見る。
まだ幸せだった約2年前の日の事を。
それは日差し眩しい初夏の午後。
コートの外で休憩していたのは、この辺りの悪餓鬼が集まって作ったストバスチームグリフォン(griffin)の5人。
まだメンバーの大半は中、高学生だが、もうこの辺りには彼等に勝てるチームはない。
そもそもの負けず嫌いな性格と、好戦的な性質に背中を押されて、バスケという場でメキメキとその力を発揮していた。
アリスはジュニアハイスクールのバスケクラブがオフシーズンの時には必ずこのコートに集まり、彼等のチームメイトとして楽しくバスケを楽しんでいた。
今日もいつもの様に集まり、近所のハイスクールのバスケチームとの試合に勝ったばかり。


「提案があるんだ。」


言い出したのはグリフォンのリーダー。
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