第51章 新 5月 II
もし、本当にそれが出来るのならば傲慢な彼にはいいお灸になる、と若松も興味津々だ。
『止めると言うか、まぁ、はい。』
「ハハッ!どこまでスゲーんだよアリスちゃんは!」
本当に出来たら面白いな、と高尾も彼女の話を聞き笑った。
「アリスちゃん、大丈夫?」
『まぁ、もう少しだけなら。』
降旗に声を掛けられたアリスは苦笑いだ。
青峰とのマッチアップは本当は楽しくて仕方がない。けれど楽しさのあまり、体力配分を考えていなかった。
だからこの策はやれるとしても一度きりで、成功しなくてもきっとそこで自分の体力は尽きると彼女は言った。
「後半、どうすんだろうな。」
「アリスさんの事ですから、何かやってくれそうですが…。」
相手はあの青峰君ですからね、と黒子は言った。
「青峰君!アリスちゃんとバスケ出来て嬉しいのはわかるけど、ワンマンプレイ過ぎじゃない?」
「しゃーねーだろ、まともにやろうとしてんの、誠凛の奴ぐれぇじゃねぇか。」
桃井と青峰の会話が聞こえた伊月は笑っていた。
確かに最初こそ、「女子だから怪我させない様にしないとな」なんて言っていた他校の連中は青峰とやり合う彼女を見て今は言葉を失ってしまっている。
普段から見慣れてしまっていたせいか、そこまで彼女が凄いとは感じてはいなかったが、実際に対峙してみると本当にアリスのボールハンドリングには全く隙がない。
「青峰、後半は本当に如月と1on1になるだろうが、あんまりウチのマネージャーを虐めないでやってくれよ?」
伊月はそう言うと、負けているのにとても楽しそうにしているアリス達へと視線を向けた。
Bチームは後半、青峰以外のメンバーが代わり誠凛の選手は全員コートを出てしまう。
「後半は青峰ばかりにいいかっこさせねぇからな!」
アップを済ませた宮地は言った。
フンっと鼻で笑った青峰は、せいぜい足引っ張んなよ、と一言。
そんな態度に桃井の方が申し訳ないという顔をしていた。
インターバル終了し、再びコートに両チームが出揃う。
「だいぶ息があがってんな。」
『青峰君こそ。』
「正直、ここまでやるとは思ってなかったぜ。」
『そう?』
後半も楽しませろよ、と青峰は笑っていた。
試合中に青峰が笑っているのは久しぶりだ。