第50章 新 5月
『はい。』
「間に合わないかと思ったんだけど、今朝届いたのよ。」
新入生の分のユニホームが出来てきているらしく、それを取ってきて欲しいと相田は言った。
バインダーを置いたアリスは、みんなが荷物を置いている控え室へと向かった。
きっと新入生の二人は、それを受け取り大喜びするだろう。
渡される様子を想像するだけで自分も笑顔になってしまう。
ご機嫌に廊下を歩く彼女は、桐皇ジャージの後姿を見つけ駆け寄った。
『おそよう、青峰君!』
「ん?もう元気になったのか?」
『うん!お陰様で。』
青峰君、遅刻だよ?とアリスは笑う。
欠伸をしながら怠そうに歩いて来た彼は、遅刻している自覚はあるようだったがそれを悪いとは思っていないらしい。
俺はいいんだよ、と退屈そうに言った。
「すっかりマネージャーやってんだな。」
『今は、ね。午後はちゃんと出るからよろしくね!』
彼女の言っている事が理解できず、何言ってんだ?と呼び止めようとしたが『また後でね』とアリスは走って行ってしまう。
桃井の話を疑っていたわけではないが、まさか本当に彼女も練習に参加すると言うのだろうか。
「…マジかよ。」
このまま控え室で昼寝でもして時間を潰そうかと思っていたが、青峰は真っ直ぐに体育館へと足を向けた。
「午後は3校では混合ミニゲームをやるわよ!」
3校からの代表選手をまとめて4チームに分け、総当たり戦で順位を決めるレクリエーションを行う。
レクリエーションと言えど、試合は本気でやらなければならない。
最下位のチームには罰があると言うのだ。
その場で組まされるチームメイト達とどこまで互いを尊重し、連携してプレイ出来るのか、それも個々のスキルアップに繋がるいい経験になる、と相田は言った。
「マジかよ!」
民宿の食堂で昼食を取っていた誠凛の選手達は、相田の話に思わず手を止めた。
「マジよ、それとこのチーム分けにはアリスちゃんも入るからね!」
「Really!?」(マジかよ!?)
火神だけではなく、全員が目を丸くした。
昼食休憩の間に午後のスケジュールを説明していた相田は、そんな彼等を見て「面白そうでしょ?」と言った。
誠凛高校は部員数が少ない為、一軍選手だけの参加ではなく、部員全員がこの合宿に参加している。