第50章 新 5月
克哉も昔、バスケットをやっていた事は知っていたが何故この二人が知っていだのだろうか。
『あの、先生方は父をご存知なんですか?』
「昔、一緒にやっていた事があるんですよ。」
「克哉は元気にしてるのか?」
思えば自分の父親の事なのに、あまり彼の昔を知らない事に気が付く。
『はい、おかげさまで元気です。』
懐かしいなぁ、と表情を緩める強豪校の監督二人に相田とアリスは改めて自分達の父親の凄さを知った。
「今日は初日ですからね。レクリエーション的に早速彼女にも参加してもらって混合チームのミニゲームでもやりますか?」
『え?』
「面白そうですね。選手達の交流にもなりますし、午後はそうしましょうか。」
克哉君仕込みのバスケ、楽しみにしていますよ、と原澤に肩を叩かれる。
自分の父親がそんな凄いプレイヤーだったのか?と疑問しか浮かばないが、早速ゲームに参加出来ることが決まりアリスは嬉しくて仕方がなかった。
午前中は各校それぞれの通常練習を行う。
誠凛高校はボールにはまだ触らない、フィジカルトレーニングが中心だった。
ペアになってやるトレーニングメニューは、今までは一番体格の近い黒子とアリスが組む事が多かったが、体力を考え黒子は夜木と組んでいる。
だから今回、相田の隣で各部員達がどれだけこなせているか、しっかりチェックしたり本格的にマネージャー業にアリスは専念していた。
『みんな気合い入ってますね、いつもよりピッチも速いみたい。』
「そりゃね、これだけ周りに嫌でも意識しちゃう相手がいるんだから。」
そうですね、と体育館内へと視線を巡らせる。
秀徳サイドでは、まるで機械のように淡々と緑間がシュート練習をしている。
桐皇サイドでは、ミニゲーム形式で練習している様だがそこに青峰の姿はない。
しかし、特に桃井が慌てている様子もないから来てはいるのだろう。
『本当に私も出ていいんですか?』
「面白いじゃない。私もアリスちゃんの全力って見てみたいわ。」
そんな風に言われると緊張します、とアリスは苦笑いを浮かべていた。
さて、とホイッスルを咥えた相田は、次のメニューに入る事を伝える。
「あ、そうそうアリスちゃん。悪いんだけどちょっと私の荷物から取ってきてほしいものがあるの。」