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君と僕とが主人公LS

第49章 新 4月 II


そもそも、ここを訪ねて来た目的すら果たせていないが、今はラッキーアイテムよりも彼女の体調回復が大事だと言った緑間に、高尾は内心とても驚いた。
しかし、それだけ彼女が大事な存在なのだろうと思うと、人らしいところもあるじゃ無いかと笑ってしまう。


『わざわざ来てくれたのに何も出来なくてゴメンね。』


玄関まで見送ると言ったアリスに、無理をするなと立ち上がった緑間と一緒に立ち上がろうとした高尾の袖を彼女は掴む。


『高尾君、ちょっと。』


どうしたの?と身を屈めた彼に、コソコソと何かを伝えている。
きっとストレートに聞いても自分の事を気にして話してくれないだろうから、と2人が来てくれた本当の理由をアリスは高尾に聞いたのだ。
ニヤニヤ笑う高尾を不機嫌そうに横目に見た緑間は、この妙な腹立たしさを嫉妬だとまだ気が付かない。
脱ぎ散らかされたままの大きなスニーカー達の端に、きっちり揃えられていたそれに足を入れる。


「あ、そうそう!アリスちゃんからの伝言。」

「伝言?」


高尾はそう言うと靴箱の上の収納スペースの扉を開けた。
他人の家で何をしているんだ?と顔を顰める緑間だったが、その中にある物を見てハッとした。


「ここにあれば好きなの持って行っていいよ、だとさ。」


綺麗に色柄がわかるように、まるでお店の商品みたいに並ぶハンカチの入ったカゴがそこにはあったのだ。
ここにあるのは普段使いのもので、いつもアリスが出掛ける時にその日の気分でここから持って出ている。


「気を遣わせてしまったのだよ。」

「美味しいタマゴ粥のお礼だってさ。」


本当、いい子だよなぁと高尾は言った。
小さな花が描かれた薄桃色のハンカチを手に取った緑間は、そうだなと嬉しそうに微笑んでいた。
普段の半分以下の食欲で、黒子にまでもう少し食べた方がいいと言われてしまった。
何もしなくていいと言われ、ただソファーに座っているだけだが、それもそろそろしんどくなってきた。


「アリスっち、そろそろベッドに戻った方がいいっスよ。」


ほら、と手を差し出した黄瀬はいつもよりも元気がない様に見えた。
クゥンと大きな尻尾が垂れているみたいだ、と思わずアリスは笑ってしまう。


『ありがとう。』
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