第49章 新 4月 II
まぁ、それも非常識なのだろうが既に上り込む4人よりはマシだろうと高尾は思っていた。
赤と青と黄色と水色。ぼんやりと見え始めたその色には覚えがある。
『……くろこくん?』
ふわりと身体が浮かぶ感じがした。
「こんな所で寝てたら治らないっスよ。」
『……Dad?』(パパ?)
トン、トンとゆっくりとした揺れが続いて、ふわりと柔らかい物の上に止まった。
とても安心する暖かさと馴染んだ匂いがして、戻りかけた意識はまた遠ざかる。
おでこから伝わる新しい冷たさがとても気持ち良かった。
「つか、テツお前。そりゃ嬉しいのはわかるけどよぉ。」
「すいません、不謹慎だとわかっているんですが…。」
嬉しさが抑えられません、と別人の様に表情を緩める黒子。
ソファーに小さく縮まって眠っていたアリスを見つけ、みんなで声を掛けた。
薄っすらと目を開けた彼女は黒子の名だけを口にしたのだ。
それでなくても目立つ3人がいたのに、彼女は黒子を最初に認識したのだ。
「ったく!冷蔵庫なんもねーし。」
じゃんけんに勝った黄瀬が彼女をベッドに運んでいる間、何か食べさせてやらなければとキッチンを漁っていた火神は、これじゃ何も作れないとボヤく。
途中のコンビニで買ってきたのはスポーツドリンクとフルーツゼリー。
これではダメだ、と火神はまだ玄関にいる緑間と高尾に買物を頼みに行った。
彼女を寝かせて降りてきた黄瀬を「何もしてねーだろうなぁ?」と青峰は睨む。
「そりゃ出来ねぇーっスよ。」
Dad(パパ)なんて言われちゃ、と苦笑い。
そんなに俺、老けてるっスかね…と本気で落ち込む黄瀬をザマァと青峰は笑っていた。
確かに黄瀬と克哉は顔の系統が似ている。身長もおそらく同じぐらいだろう。
熱で朦朧としているアリスが間違っても仕方がない。
「つか青峰っち。」
「あー?」
「なんで普通に寛いでんスか?」
ここは俺の定位置なんだよ、とさっきまでアリスが寝ていたソファーに座り我が家の様に置かれていた雑誌を読み始める。
青峰らしいと言えばそうなのだが、今はそんな時じゃないだろ、と黄瀬は言った。
「お前等、なんかする気ねぇなら静かにしてろよな!」
勝手知ったる他人の家。