第48章 新 4月
「いいね!」のボタンをタップしたが、その表情はとても「いいね!」と思っているとは思えない、真逆のそれだ。
だから次にアリスと遊ぶ時には、自分のユニホームを持って行って着て貰うんだと黄瀬は強く思っていた。
そして改めて誠凛バスケ部のユニホームに喜ぶ彼女の写真を見て気がつく。
「あ、これ…。」
彼女の耳にチラリと輝くピアスは、クリスマスにプレゼントしたものだった。
モデルの仕事の現場で、小道具の中にそれを見つけた時、アリスの顔が浮かんだ。
「付けてくれてるんスね。」
バスケをするのにも邪魔にならない小さな四つ葉のクローバーを模ったシルバー。髪の間にそれが輝いていた。
火神を相手に、黒子とアリスのペアが仕掛ける。
まるで三人の間には複数のボールがあるように見えてくる、そのトリッキーな動きは今日もキレッキレだった。
だがそれは練習前の彼等にとっては遊びの様な物だ。
しかし、体験入部で体育館に集まりつつあった新入生達を驚かせるには十分だった。
「あの人、マネージャーじゃないのか?」
「いや、マネージャーでもあのレベルって事なんじゃ…。」
ギャラリーがザワザワし始めた事に最初に気が付いたのは黒子だった。
「そろそろ終わりにしましょう。」
『そうだね。』
黒子がポーンと優しいボールをパスし、飛んで着たのをキャッチしたアリスは新入生達の方へと向き直った。
彼女の後ろで火神はもう少しやりたかった、そんな顔をしていた。
『こんにちは、新入生と仮入部希望の皆さん。もうすぐカントクも来ますのですぐに動ける様に準備していて下さいね。』
彼女が輝いて見えたのは、運動の後でジンワリ汗をかいていたからだけではないだろう。
火神と黒子にタオルを渡したアリスは、自分もマフラータオルを首にかける。
そして集まっていた仮入部希望者のリストを手に、日向と何か打ち合わせを始めた。
それを合図に他の部員達も手を止める。
体育館に響いていたバッシュのスキール音も止まり、アリスの吹いたホイッスルの音が響いた。
「そんじゃカントク来るまでいつものやっとくぞ!」
日向の声に部員達は集合し、相田オリジナルのフィジカルトレーニングを始めた。
『では皆さんもご一緒に。最初はキツイでしょうけど、頑張って!』