第48章 新 4月
遅くなってすいません、とアリスは頭を下げた。
女の子の支度には時間がかかるとは言うが、ただジャージに着替えるだけでこんなにかかるのか?と日向は呆れた様に言った。
「バカねぇ、誰が「ただのジャージ」なんて言ったのかしら?」
相田は勝ち誇った様に笑い、アリスにジャージを脱ぐ様に言った。
「ん?男バス、気合い入ってんなぁ。」
「つか、円陣組むほどか?」
正確には円陣ではなく、ジャージを脱いだアリスを四方から取り囲み隠している、が正しい。
「What is it, this!!」(何だよこれ!!)
「ダメだ!絶対にダメだ!」
「つか、破壊力ハンパないよ!」
「そうですね。色々とまずいと思います、寒そうですし。」
練習にも一緒に参加しているし、ストレッチなんかの時には当たり前だが、彼女に触れる事だってある。
ミニゲームをやれば、ゲーム中に接触してしまうなんて日常茶飯事。
しかし、今、彼等の前にいるアリスは、いつもの彼女とは違う。
「どう?彼ユニ美少女!」
これでなびかない男はいないだろ!と相田は誇らしげに言った。
黒いタンクトップの上にサイズの合わない大きな誠凛バスケ部のユニホーム。
下はハーフパンツではなく、制服のスカートというアンバランスさが更にその姿を特別に見せていた。
『やっぱり制服に着替えますよ。』
隠されたことの意味をマイナスにとったらしく、しゅんと俯いたアリスは言った。
「ダメよ!それにみんなも!」
アリスちゃん独占したいのはわかるけど、今は新入部員確保の為に我慢しなさい!と相田は笑っていたが思い切り怒りのオーラを出した。
彼女だって立派なバスケ部の一員なんだから、と言う相田の言葉を聞いたアリスは、それに嬉しくなってしまう。
みんながそう思ってくれているならば、客引きピエロになることなんてどうってことはない。
『私、勧誘行きます!』
だから日向先輩とリコ先輩はここで待っていて下さい!と強い決心を宿した目でアリスは言った。
そうじゃないんだ、と誰もが内心叫ぶが、バスケに関係することになると彼女も相当ぶっ飛んだ事を平気でやってしまうタイプだとみんな知っている。
去年の文化祭でもそうだった。