第48章 新 4月
新入生に配るフライヤー、他のどの部活よりも目立つアピールを考えなくてはならない。
ウインターカップ優勝という最大の武器はどこまで通用するだろうか。
「何かいい事でもあった?」
新しい自分の席に座るアリスはニコニコ顔。
『なんかね、凄く楽しい事が起きそうな気がするんだ。』
だから明日の勧誘会頑張ろうね、と笑うアリスをみた降旗はつられて微笑んだ。
今までは彼女よりもキャラの濃い火神と、逆に薄過ぎて驚いてしまう程の黒子がいつも側にいたせいか、アリス自身はあまり目立っていなかった。
むしろちょっと近寄り難い存在だった。
しかし、その二人が離れているとこんなにもアリスは目立つのか、と降旗は驚いていた。
チラチラとクラスの男子がアリスを気にして視線を送っている。
「ねーねー如月さん。」
『はーい。』
あとでね、と女子に声を掛けられ席を離れてしまうアリス。
普段、バスケ部で見ていた時は分からなかったが同じ女子と一緒にいると彼女はスラっとしていて更に目立つ。
何を話しているのかは分からないが、笑ったり不貞腐れたり、コロコロ変わる表情も見ていて飽きない。
火神と黒子はいつも側で彼女のそれを見て来たのかと思うと降旗は嫉妬にも似た感情を抱いていた。
満開の桜を引き立たせる青空。
優しく通り過ぎる春の風は、短いアリスのスカートを揺らす。
『…あの、リコ先輩?』
「文句は一切聞きません!脱ぐ事も許しません!」
男子立ち入り禁止と大きな張り紙が貼られた男子バスケ部の部室。
そこは本日限り、アリス専用の更衣室だ。
新入生勧誘の動く看板だと、監督命令で着せられたのは火神のユニホーム。
当然アリスにはサイズがあっておらずダブダブで、ミニ丈のワンピースの様にも見える程。
しかし、しっかり制服のスカートをその下にはがされていた。
『これで勧誘になるとは思えないんですけど…。』
「大丈夫よ!」
相田のその自信の出所はどこなのか、と大きな溜息をつく。
取り敢えず今はその上にジャージを着ていいと言われたが、こんな格好でブースに戻っていいのかと疑問しかわかない。
「みんなー!アリスちゃん支度出来たわよー!」
相田の声にバスケ部員みんなが振り向く。