第48章 新 4月
桜の花が満開に咲き誇る。
帰国して二度目の桜は、火神、黒子と一緒に見ていた。
「The Japanese cherry tree is beautiful!」(日本のサクラは綺麗だな!)
オーバーな程に喜ぶ火神にアリスは頷く。
去年の自分が今の自分を見たら驚くだろう。
もう二度とやる事はないと思っていたバスケをまたやっていること。同世代の日本人の友人が沢山できたこと。
それに意識しなくても自然に笑えるように戻ったこと。
『…綺麗。』
風に揺らされハラハラと落ちる桃色。
同じ物を去年もこの場所で見ていたはずなのに、こんなに綺麗には見えていなかった。
自分が変わるとこうも見える景色も変わるのか、と驚いてしまう。
「アリス置いていくぞ。」
『待って!』
今日から高校二年生だ。
クラス編成が貼り出されている前には沢山の生徒が集まっていた。
「クラス、離れてしまいましたね。」
『そうだね、私はB組で二人はA組かぁ。』
火神、黒子は同じクラスだったが、アリスは離れてしまった。
今年度は体育祭や修学旅行があるのに、彼女と同じクラスになれなかったのは残念だと黒子は言った。
しかし、火神もアリスもどうしてそんなに嘆くのかわからない。
アメリカの学校にはあまりクラス単位で行う学校行事はなく、そもそも何人でひとクラスという区切りも薄い。
だから同じ学校の同じ学年、しかも同じ部活に所属しているのだから、今までとたいして変わる事はないと思ってしまう。
今までと大きく変わる事など無いも同然、もし不都合があるとしたら宿題を写せない事ぐらいだ。
「アリスちゃん、おはよう!」
『ふーり!』
今年は同じクラスだね、と教室に入ったアリスに最初に声をかけたのは同じバスケ部の降旗だった。他にも何人か知った顔がある。
この一年間で自分はきっとまた変わるだろう。しかしどう変わっていくのかはわからない。
誠凛高校での2回目の春は、大きな期待とほんの少しの不安で始まった。
明日は新入生の入学式、そしてその後は各部活、同好会などが新しい仲間を求める勧誘会が開かれる。
だから明日からしばらくは、アリスはマネージャー業に重点を置いて動く事になる。