第47章 新 3月 Ⅲ
『なんか照れちゃうよ。』
「一目惚れとも言うのかな。」
気が付いたら語学留学がバスケ留学になってしまっていた。
クラブ活動としてはシーズンオフだった事もあり、アリスが校外で組んでいたストバスチームに入ってバスケをやった。
『もう、セイ君ってば大袈裟だよ。』
「俺は本気だよ?今だって凄くドキドキしてる。」
全く緊張しているようには見えない、むしろ余裕がある様にしか見えない。
赤司の言葉は一つ、表情一つに翻弄されてしまう。
またそうやって、とアリスは笑った。
その夜はお互いの連絡先を交換して、共有出来る思い出話や、バスケの話をした。
「君が帰国してしまったんじゃバンダースナッチは解散したのか?」
『ううん、それより前に解散しちゃって。』
そう言ったアリスは淋しそうな辛そうな表情を浮かべた事を赤司は見逃さなかった。
そして直感的にそうなった原因を彼女がまだ引きずっている事に気が付いてしまった。
「さて、そろそろ君をお父上にお返ししなきゃいけないね。」
『もうこんな時間なの?』
スマホ画面に浮かぶデジタル数字は、21時を越えていた。
確かにパーティもお開きになっているだろう。
ラウンジ内にも大人の客が増えている。
「エスコートするよ、おいで。」
慣れた立ち振る舞いは、まるで映画やドラマから出て来た紳士のよう。
あまりにもスムーズに差し出された手に、自然にアリスは自分のそれを重ねた。
優しく包む様に繋がれる手。
『セイ君、あのね。』
「なんだい?」
『お願いがあるの。』
自分とのアメリカでの思い出話しは他の人にはしないでほしいとアリスは言った。
それは赤司にとっても都合がいい話だ。
彼女の近くに居られない自分は、黒子や火神、青峰の様に今を共有する事が難しい。
ならば彼等の知らない過去のアリスぐらい独り占めしておきたい。
「君と俺だけの秘密みたいだ。」
『そうだね。』
彼女と赤司では、それを秘密にしたい理由は違う。
だからまた、アリスが悲しそうな顔をした事に赤司は気が付かないふりをしてしまった。
パーティ会場に戻ると既に他の客の姿は無く、ホテルの従業員が片付けを始めていた。
どうやら遅過ぎたらしい。
「部屋まで送るよ。」