第47章 新 3月 Ⅲ
飲んでいるのはソフトドリンクだが、雰囲気に飲まれてしまっているのかもしれない。
「いつまで京都に?」
『明後日までの予定だよ。』
「そうか、あまり時間はないんだね。」
『パパのパーティのお供だから。』
本当はゆっくり観光したいんだけど、とアリスは零した。
明日は明日で克哉は仕事があるらしく、親子で京都観光出来るのは帰宅予定の午前中だけ。
「俺でよければ案内しようか?」
『いいの?』
「明日はオフ日だからね、君がいいなら。」
いいに決まってるよ、とアリスは普段から大きな目が更に大きくなりキラキラ輝いていた。
「君とはゆっくりと話をしたかったと言っただろ?」
『そういえば、言ってましたね。』
「英語の方が話しやすいのかな?」
『え?』
こっち(日本)で再会してからはずっとよそよそしく話しているから、と少し寂しそうに言われてしまった。
確かに英語には敬語はない。
けれどアリスがそうなってしまうのは、日本語が話し辛い訳ではない。
再会時の別人の様な彼はアリスにとっては初対面と同じで、親しくしてはいけない様な気になってしまったからだ。
『今のセイ君とあの時の赤司君って同じ人、だよね?』
「あぁ、俺達は二人で一人なんだ。」
サラッととんでもない事を打ち明けられた気がする。
しかし、ここは深く聞いてはいけないような気がした。
あの時は驚かせたみたいだね、と申し訳ないと言う今の赤司も、自分のした事では無いような口ぶりだ。
「黒子達は元気にしてるのか?」
『元気だよ、タイガも青峰君も。』
みんなバスケばっかりだよ、とアリスは楽しそうに話す。
本当は今日も誠凛は練習日だったけれど自分は休んで来ていると彼女は言った。
それに自分自身、またバスケを始めたとちょっと恥ずかしそうに話した。
「また君とプレイ出来るかもしれないね。」
『そうだね。』
ロサンゼルス短期留学は、あくまでも語学留学だった。
たまたま通ったジュニアハイスクールに日本人がおり、それが彼女だった。
最初は女の癖に自己主張が強くて苦手なタイプだと思ったが、バスケをしている彼女から目が離せなかった。
キラキラの笑顔で日本では見たことの無い様なトリッキーなパフォーマンスをする。
「俺は君のファンだからね。」