第47章 新 3月 Ⅲ
緩めていたネクタイをしっかりと締め直し、パーティ会場になるフロアへと向かった。
今夜のパーティは日本支社長が自分に代わる事をお披露目する場でもある。
アリスの為にも頑張らないとな、と気合を入れた。
今夜は父親が出資しているアメリカの会社のパーティがある。
わざわざ自分が列席する程のものではないから代わりに出るように言われた。
会場が京都市内のホテルというのも指名された理由だろう。
幼い頃からそういう場には慣れているが、練習後は本音を言うと行きたくない。
しかし、今回は来て良かったと初めて思った。
「あの子可愛いなぁ。」
「女子高生らしいぞ。」
「えー、如月新支社長そんな大きな娘さんがいたのか!」
若い男性列席者達の視線を一身に集めていたのは、来年度から日本支社の新しい支社長の娘らしい。
普段ならば他人の声など気にも留めないが、何となくそちらを見てしまったのは「如月」という知った名前が聞こえたからだろう。
「アリス?」
長身の中年男性の隣でキラキラの笑顔を振りまいていた。
ここはしっかり挨拶をしておくべきだろう。
「はじめまして、如月支社長。」
『セイ君?!』
「おや、アリス知り合いかい?」
うん、赤司征十郎君だよ、と彼女は言った。
赤司の名を聞いた克哉はハッとした顔をした。
赤司と言えばかなりの出資をしてくれているスポンサーだ。
『紹介するね、私のパパなの。』
「征十郎君もバスケをやるのかい?」
「えぇ。お嬢さんとも親しくさせて頂いてます。」
新しい支社長とスポンサーの御曹司が笑顔で話しているのを、克哉の関係者は流石だな、と憧れの視線を向けていた。
「如月さん、少しアリスさんをお借りしても?」
「あぁ、行っておいで。」
それじゃ行こうか、と彼女の手を取る。
どうやらパーティに彼女も飽きていたらしく、素直に誘いに応じた。
人の多いフロアから出た二人は、落ち着いた雰囲気のラウンジに移動した。
『驚いちゃった、スーツ着てると違う人みたいですね。』
「それはお互い様だろ。」
ドレス姿の君を見られたのはラッキーだったかな、と赤司は優しく微笑みかけた。
その整った爽やかな顔にアリスはホンワリと頬を染めた。