第46章 新 3月 II
『はい!』
可愛い格好も見たいけど、明日は動ける服装でおいでと言われた。
春休み初日は絶好の行楽日和。
ロングトレーナーにショートパンツ姿のアリスを見つけた今吉は手を振った。
「おはよう、アリスちゃん。」
『おはようございます、今吉さん、諏佐さん。』
お前、彼女を誘ってたのかと諏佐は呆れた様に今吉を見る。
人数が足りひんかったんやから仕方ないやろ?と全く悪怯れる事なく今吉は言った。
『人数って?』
「俺達の行く大学主催のストバスイベントがあるんだ。」
『それに参加するんですか?』
そうや、楽しそうやろ?と今吉は笑う。
大学のキャンパスではなく、近くの体育館を使用し、一般からの参加も受け入れるストバスイベント。
1チーム3人でエントリー、試合形式は3on3。
既にエントリーを済ませたチームがアップを兼ねてコートではしゃいでいた。
その声はとても楽しそうで、イマイチ乗り気では無かったアリスの気分も変わる。
「ルールはわかるやろ?」
『正式なものは知らないです。』
「ほなら諏佐、教えてやりーな。」
その間にエントリー済ましてくるわ、と今吉は受付へと行ってしまった。
レクチャーして貰えますか?と向き直りこちらを上目遣いに見るアリスに、思わず諏佐は頬を染めた。
青峰や今吉が気に入っているのがわかるな、と小さく呟いた諏佐は簡単にルールの説明を始める。
使用するコートはハーフコート、ダンクは禁止。試合時間は5分5分の合計10分。
「あと大きく違うのは攻守交代した場合、このツーポイントラインが要だ。」
『要はスティールしたらこのラインまで一度戻さないと攻められない、って事ですか?』
そうだ、と言った諏佐は真剣にルールを頭に入れようとしているアリスに感心してしまう。
本場アメリカ仕込みの彼女は、こんなルールを聞いたら面白くないと思うだろう。
特別なルールを作らず、自由にバスケを楽しむのがストリートの醍醐味。
「君は驕らないんだな。」
『…青峰君みたいにした方がいいですか?』
その方がやりやすいと言うなら頑張ってみます、とアリスは言った。
あの黄瀬だって青峰のコピーをするにはかなりの苦労をしたはず。
それをこんな女の子が出来ると言うのだろうか。
『私に勝てるのは私だけだ…。』