第46章 新 3月 II
火神と如月、この後職員室に来なさいと春休み前日のHRあと呼び出しを食らった。
怠いなぁとぼやく火神とは違い、呼び出された理由に心当たりがあるらしいアリスは浮かない表情だ。
「どうかしたんですか?」
『たぶん進路の事だと思うの。』
まだはっきり決める時期ではないが、進級時のクラス分けを決める為に出させられていたそれをアリスは『未定』と書いただけで提出していたのだ。
「そういえばアリスさんの将来の夢って聞いた事ないですね。」
『話したくても無いからね。』
「そうなんですか?」
『うん、まだわからなくて。』
火神はNBA選手、黒子は高校卒業後は文系大学への進学を希望している。
けれどアリスは将来と言われても漠然とし過ぎており、まだ何も決められない。
まぁお説教されてくるよ、とアリスは席を立った。
先に練習に行ってますね、と浮かない表情の二人と別れた黒子は体育館へ向かった。
その日の夜、ベッドに寝転がったアリスは担任教師に言われた言葉を思い出していた。
特になりたい職業がないならば、英語を生かせる職業を選んでみたらどうか、と。
『通訳とかツアコンとか。ピンと来ないよね…。』
一緒に呼び出された火神は学年末テストの結果が良くなかった事を注意されていた。
自分もそうだったら気が楽だったのに、とアリスは溜息をつく。
モヤモヤした気持ちのままでは眠れそうになく、なんとなくスマホに手を伸ばす。
春休みをどう過ごすのか、とメッセージアプリでクラスメイト達が楽しそうに話していたが、そこに参加する気にはならなかった。
『!今吉さん?』
パッと画面が変わり着信を知らせてくる。
「久しぶりやなぁ〜、元気やった?」
『はい、今吉さんも元気そうですね。』
声色は明るく、きっとあの細い目でニコニコしているのだろう。
「大学も合格したし、久しぶりに遊ぼうって事になってのぅ。」
『おめでとうございます。』
「そやからアリスちゃんもこーへんか?」
明日から誠凛も春休みやろ?と今吉は言った。無事に大学に合格した諏佐も一緒だと言う。
進路に悩んでいたアリスは、今吉や諏佐に何か話しが聞けるかもしれないとその誘いに頷いた。
『是非、ご一緒します!』
「ほな明日、駅前で。」