第44章 2月 Ⅲ
それならば僕達も学校に戻ります、と黒子は火神を連れて戻ると言う。
『次はちゃんとオフの日に遊びに来てね。』
まだ戻る事を渋っている火神を黒子は説得している間に黄瀬は玄関へ、一緒について来てくれたアリスに今日は本当にゴメン、とまた謝罪の言葉を口にする。
「でも、嬉しかったっス。ありがとう、アリスっち。」
それから、と靴を履き終えた黄瀬は真剣な表情を浮かべた。
「あの試合の率直な感想なんスけど。」
『え?』
「昔のアリスっちの方がいいパフォーマンスをしてたっスよ。」
『…やっぱり。』
「あ!でも技術的には変わりはないっス。だから、えっと…。」
あからさまに落ち込んだアリスに、自分が感じた事を上手く伝えられていないと黄瀬は必死に言葉を探す。
チームメイトとの信頼関係や彼女自身のモチベーションの違いがそう見えただけだろう。
「バスケを本心から楽しんでるっていう感じ。それが違うんじゃないっスか?」
『楽しむ気持ちかぁ。』
だからこれからは俺と一緒にもっとバスケを楽しみましょうと黄瀬は言った。
彼等はいつもアリスに助けられていると言うが、やっぱり助けられているのは自分の方だと彼女は思っていた。
一緒にプレイしてくれる仲間がいるからバスケを楽しめる。
『ありがとう、涼太。』
「こちらこそ、ありがとう。」
それにチョコマフィンも美味しかったと言うとまたね、と外へ出て行った。
「お前は行かねぇの?」
『練習には行くよ、2号の迎えもあるからね。』
授業はこのままサボっちゃう、と悪戯っぽく笑ったアリスに見送られた二人は「じゃああとで」と学校へ戻る。
自分の不注意で二人にまで迷惑をかけちゃったなぁと思いながらリビングに戻れば、まだどこか不機嫌な顔の青峰がいた。
「…帰れって言わねぇのか?」
『言って欲しい?』
黄瀬にはだいぶ甘いよな、とボソッと呟いて手にしていたコントローラーを置いた。
テーブルは綺麗に片付けられていたが、青峰のグラスとマフィンが1つ残されていた。
どうしてもそれに手を付ける気にはならないらしい。
『さつきちゃん、あんなに一生懸命なのに凄く料理が下手でさぁ…。』
クスクス笑いながら楽しそうに話す。