第5章 5月 II
「試合結果、メールするっスよ!」
引っ張られながら歩くアリスは、振り向いて手を振ってくれた。
「彼氏、いたんスね…。はぁ〜。」
「お前、試合に負けた時より落ち込んでねぇか?」
「そりゃ、まぁ。なんかヤル気とかみーんななくなったっス。」
黄瀬が力なく手摺にのしかかる。
そんな様子を面白がっていたが、あまり落ち込み過ぎてバスケに差し支えるような事になったら困ると笠松は溜息をついた。
「あれは彼氏とかじゃねぇよ。」
「センパイ、知ってんスか?」
笠松はうん、と頷いた。
音駒高校の黒尾鉄朗って有名たぞ、と。